工事監理ガイドライン

国交省が指針を示した 「工事監理ガイドライン」 の講習会に行ってまいりました。

あくまで、「指針を示したものであり強制はしない」 との立場ですが、国交省が公に示した唯一の公的文書になりますので、あながち無視の出来ない存在となります。

このガイドラインに従えば、従前にも増して工務店の工事管理が厳密に行なわれ、より安心・安全な建物が出来ることができます。

その反面で、ガイドラインで例示された各工程の全てに於いて、工務店に自主検査の記録を整備させるという事は工事金額に直接跳ね返ってくる問題も抱えています。

例えば、従来でしたら監督が目視で確認したことも「自主検査記録」として書類として整備されなければならず、膨大な事務作業が必要になります。

「ガイドライン」の項目について問題なく対処してくれる工務店が施工してくれるのなら、施主・設計事務所としても、安心ですし仕事がやりやすいのは言うまでもありません。

私たちのような設計事務所では、競争入札を経て工務店を決定することが通常行なわれます。

ところが、落札した工務店によっては、「自主検査記録」等の書類の整備が十分になされない工務店が落札する可能性が往々にしてあります。

(特に、ローコストの物件などで発生する可能性が多くなると思われます。)

設計者にとっても、施主にとっても入札時は「少しでも安い」ことがありがたいことですが、工事に入ってからは「キッチリ時間を掛けて管理してもらいたい」というのが設計者・施主双方の思惑でしょう。

ところが、落札した工務店からすれば「そんな話、聞いてないよ~」となってしまうわけです。。

かといって、入札前の説明で、 「工事監理ガイドライン」の項目に沿った「自主検査記録」の整備を明記すれば、入札金額に反映されてしまい、工事費は高額になってしまいます。

工事金額とガイドラインのバランスを如何に取るのか・・・現実的な対応を目下思案中です。


あと、今回のガイドラインでは、設計図書との照合方法が、書類確認、抽出検査、なども「合理的な確認方法」として認められるようになりました。

従来でしたら、設計図書と工事との照合方法に具体的な定めが無いために、全数検査が必要との解釈も一部に存在しましたので、これは画期的な表現と評価していいと思います。

まぁ、公共工事の「営繕工事仕様書」などでは昔から明記されてるのですが・・・・
by dikta | 2009-10-29 13:22 | 仕事のこと | Comments(0)


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