吉村昭さんの小説が好きな私は、日本の漂流記について興味があります。
新城の設楽原歴史資料館で開催中の
“督乗丸漂流200年 「船長日記」から開国へ”展に行ってまいりました。
「船長日記(ふなおさにっき)」は、名古屋の督乗丸が江戸から帰航中遭難し、
漂流16ヵ月後イギリス船に救助され、カナダ、アラスカ、カムチャツカ、択捉島、国後島を経て
帰郷するまでの体験を、新城藩の重臣・池田寛親が記録したもの。
江戸時代、異国の地から帰国出来た日本人はほんの僅かしかいません。
鎖国下の海外見聞録として貴重な資料です。
江戸時代の日本は遠洋航海に耐えられる良い船を作ることを禁じられていました。
ひとたび海が荒れると簡単に壊れるような船しか許されず、多くの船が破船しました。
破船した船の多くが海に沈んでしまうのですが、
中には督乗丸や
アメリカ彦蔵のように外国船に救出されたり、
大黒屋光太夫のように異国の地に流れつく船もあります。
奇跡的に生き延びることが出来た漂流民の中から
帰国が叶ったのはごく僅かな人たちです。
慣れない異国の地の環境や食べ物に適応出来なかったり、
帰国をあきらめて洗礼を受けてしまったり・・・
督乗丸が破船した200年前というと
ロシアは極東開発に力を入れ、日本との交易に興味を示し、
アメリカもまた鯨油用に多くの捕鯨船が日本近海で操業していた頃。
外国船の目撃や接触が増え、
また、
「菜の花の沖」の高田屋嘉兵衛の拉致事件のあったりして
“外国の真意を探りたい”と神経をとがらせていた時期にあたります。
こうした事情から、それまで、門前払いしていた漂流民たちを
“海外事情を知る貴重な情報源”として受け入れるようになったのです。
この「船長日記(ふなおさにっき)」の現代語訳がアマゾンで入手出来るのですが
少し高くて、まだ読めないでおります..
督乗丸漂流200年 「船長日記」から開国へ
平成25年10月19日~12月13日
新城市設楽原歴史資料館