カテゴリ:設計のこと( 33 )
無理が通れば道理が引っ込む


建築家のマッチングサイトで見つけた竣工写真。そのキャプションを見て、


あれ?このお店の名前、聞き覚えがあるぞ・・・と。


その建物は、今から10年前、学生時代の同級生が監督として携わった物件。

工事を請け負ったゼネコン内部で検証し、「この設計ではまずい」 となり、設計事務所に設計変更を具申したもののその提案は却下。

設計どおりに施工したら鉄骨がたわみ、壁や床にクラック発生。

設計事務所からは「施工ミス」とあげつらわれてしまい、同級生が苦慮していることを聞きました。豪胆な彼からはとても想像出来ない姿に。

建設業界では設計事務所は絶対の存在。無理が通れば道理が引っ込む世界。ともすれば建築家は自らのデザインを優先するあまり、機能をないがしろにする傾向にありますから、これに類する話はわりとよく耳にします。

きれいな竣工写真からは、そのようなドタバタ劇は伺い知ることは出来ません。


ところで、Casa BRUTUS特別編集 「21世紀・日本の名作住宅」 に建築家住宅にあこがれる方への「家づくり究極アドバイス」が掲載されています。


◎ 細かい希望は言いません。

◎ リスクはつきもの、覚悟の上で。

◎ 油汚れは1時間以内に取るべし。

◎ 揚げ物はしない。

◎ 寒さ暑さは覚悟の上。

◎ 寒さは慣れる、慣れるが勝ち。

◎ 階段は注意力でカバー

◎ 壁と屋根があれば家なのです。


雑誌に掲載されるような、あるいは建築賞を受賞するような作品性の高い住宅に住むには、思い切った割り切りと相応の覚悟が必要なのかもしれませんね。


<2013.12.24 ディクタ建築事務所 はらだひさし>
by dikta | 2013-12-24 17:04 | 設計のこと | Comments(0)
リフォームか建て替えか


最近は、リフォームにしようか建て替えにしようか、といった段階でのご相談も増えています。

現在のお住まいに思い入れがあって残したい、予算的にリフォームのほうが相応しそうなど理由は様々です。

これまでのように「造っては壊す」を繰り返すよりも、「今ある建物を快適にし永く使う」ということ自体には大賛成です。

ところが、木造住宅関係の主な法改正を遡ってみますと、、、

■2000年(平成12年)
  ・地盤調査の事実上の義務化
  ・耐力壁や筋違の構造金物の義務化
  ・耐力壁をバランスよく配置することの義務化(四分割法、壁量充足率・壁率比など)

■1995年(平成7年)
  ・構造金物の推奨

■1981年(昭和56年)
  ・必要壁量の見直し

■1971年(昭和46年)
  ・基礎はコンクリート若しくは鉄筋コンクリートとする
  ・風圧力に対する必要壁量の制定
 

たとえば、2000年より前の建物では耐力壁の量は足りてはいるけれど配置のバランスが悪い、ということが往々にして起こります。

耐力壁を増やすことでバランスをとろうとするわけですが、1階の壁の上に2階の壁が載っていない・あるいは柱が載っていないと、2階の耐力壁を増やしても、うまく力が流れていかないということになってしまいます。


そこで、早い段階で2階の壁・柱と1階の壁・柱が一致する割合(直下率)を確認します。

直下率は柱50%以上、壁60%以上が推奨されています。

この数値基準は基準法に規定されているわけではないこともありなかなかクリアしないことも。

直下率を上げるためには2階壁の下の1階壁を増やすのが基本ですが、1Fにリビングなど大きな空間が欲しいとなると安易に壁を増やすこともはばかられます。

リフォームするからには耐震性も少しでも良くしたいとの考えはクライアントも私たちも同じです。安全な住まいで暮らしてほしい。

既存不適格物件であっても、構造の基準は建てた当時のものです。

本当に安心して暮らせる住まいを手にして欲しいと思います。


<2013.09.12 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-09-12 11:57 | 設計のこと | Comments(0)
壁が欲しい


普段何気なく使っている照明スイッチ。

プランが確定した段階でおおよその位置を想定します。

場合によっては、ドアの開き勝手を変えたり引戸の引き込む方向を変えたりもします。

夜、帰宅してからの動線や、就寝時のリビングなどからの動線がスムーズになるように。

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広く見せたい部屋では空間を繋げたいので壁は少なくしたいのですが、スイッチの位置を考えると壁が欲しくなります。

その矛盾の中で、時には腰壁にスイッチを付けることも。

配線ルートは長くなりますが、普段何気なく使える位置であれば、電気屋さんに少しがんばってもらう価値はあると考えています。


<2013.07.11 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-07-11 11:12 | 設計のこと | Comments(0)
夏の敷地調査で


先日、敷地調査に行ってきました。

宅地として整地されたばかりの敷地を除いて、この時期たいていは草が生い茂り、樹木が残っていることもあります。
人が手を入れないと、良くも悪くもこんなにもたくましく緑は広がっていくものなのだと実感します。
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このあたりでは敷地に建物を計画しても余白として庭や駐車場を計画できることがほとんどです。

その余白は、土のままでは雑草が生えて手入れが大変だったり、人や車が行き来するには都合が悪いことから舗装されたりします。

けれど、できれば形を変えてでも緑を残したいと考えています。
草木の間を抜ける風はやはり気持ちが良いからです。

今後の住宅のスタンダード基準「低炭素住宅」が示され、その選択肢の一つにヒートアイランド対策として、屋上緑化や壁面緑化と並んで「緑地又は水面の面積が敷地面積の10%以上」と示されています。

ランニングコストの軽減が見込める節水対策やエネルギーマネジメント。
認定を受けるためにはこちらが多く採用されるでしょう。

その上で、おすすめしたいのは緑化です。
コスト面でのメリットとは違う、豊かさ を生み出すものと考えています。


<2013.07.03 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-07-03 11:38 | 設計のこと | Comments(0)
扉の裏も有効利用


すっきり片付いた玄関は気持ちの良いものですよね。

玄関やホールに片付けておきたいものは、色々な種類のものがあります。

普段から使う靴や傘、スリッパに加え、靴の手入れの道具や玄関周りの掃除道具、子供の外遊び道具、可能であれば自転車やゴルフバッグなど趣味の道具。

車の鍵や認印、非常持ち出し袋などを置くこともあります。

全てを上手に収納するには結構なスペースが必要になります。

暮らしに合った収納の見極めがまずは必要です。
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こちらはスリッパラックを扉裏に取り付けた例です。

スリッパや傘などは厚みがないので玄関扉の裏に片付けられます。

ちょっとした隙間も上手に利用したいものですね。


<2013.06.12 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-06-12 13:38 | 設計のこと | Comments(0)
コンセントをつける場所


出来るだけ目立たせたくないコンセント。かといって、家電と生活は切り離せません。

家電も意識しないとどんどん増える一方です。
「あったら便利」と「なくてすっきり」を秤にかけ、それでも「便利」が勝つようなら準備しておきます。

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<写真は収納内部にコンセントを設置しています。丸い穴からコードが出ます。>



小物を照らす照明用は 玄関カウンターやニッチ、リビングの壁や出窓脇などに。

ハンドミキサー・フードプロセッサー・ジューサーなどのキッチン家電用は キッチンカウンター上の壁や、吊戸棚の底面などに。

ホットプレートや電気鍋・電気ポット用は ダイニングテーブル下の床や、テーブルに接する壁・家具などに。

夏の虫除け用は 玄関収納の下や頻繁に出入りする掃き出し窓付近、また寝室の足元などに。

冬には暖房器具・夏には扇風機用は 洗面室の足元などに。
エアコンで室を暖めるよりカーボンヒーターやハロゲンヒーターなどのほうが暖かさを感じやすいです。

パソコン・プリンター用は リビングやダイニングの一角や、書斎のカウンターなどに。

モデム・ルーター用は 収納内部を利用すれば見た目もすっきりします。
パソコンコーナーのカウンターでも。

充電式の歯ブラシや髭剃り用は 洗面室の鏡収納内だと見た目もすっきりします。
家族しか使わない洗面室なら洗面カウンターでも。 

その他、充電ものとして、携帯電話・ビデオ・カメラ・電池・懐中電灯なども。
これらは上記のように、使う場所にコンセントを準備するのではなく、しまう場所に準備します。

携帯電話は、リビングやダイニングの一角や、個人のスペースの見える位置に。
電池やビデオ・カメラの充電は、収納内部ですと見た目がすっきりします。

こうしてみると、コンセントは暮らしやすさやすっきり感を左右しますね。




<2013.05.29 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-05-29 14:04 | 設計のこと | Comments(0)
玄関スペース


住宅のプランニングをしていますと、リビングに玄関を取り込みたくなることがあります。
リビングの一部が玄関土間といいますか、玄関ホールがそのままリビング、というように。

面積を絞ることができるのが最大のメリットなのですが、注意したいのが断熱性能です。

玄関は、扉を開け閉めする度に外気が室内に入ってきますし、土間下に断熱を施しても
一般室のように 床下へ断熱材と空気層を施す場合より熱が伝わりやすく、熱環境の
側面から見れば弱点になりやすいのです。

夏には気持ちの良い土間も、冬には冷気を招き入れることにもなりかねません。

そんなことからも、玄関ホールを設け、居室と土間との間に断熱面でのワンクッションを
取り入れています。

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傘をたたんだり、コートを脱いだりするのに必要な空間と適切な収納とを確保すれば、
それほど広くなくても、家具や照明で十分素敵になります。



<2013.05.01 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-05-01 13:10 | 設計のこと | Comments(0)
アベノミクスと消費増税と建設コストと。


最近の為替の影響を受けて、建設コストが上がってきています。

工務店の話では、プレカットなどは4月、5月、6月と見積りが大幅にアップしているそうです。

床材メーカーと塗装メーカーとが互い情報交換を行い、
値上げのタイミングを見計らっているとかないとか・・そんな話も聞こえてきたりします。

今後は、消費増税の駆け込み需要が絡んでまいりますので、
コスト的にしばらく辛い期間が続きそう。

増税は覚悟して、じっくり腰を据えて家づくりに取り組むのも
選択のひとつです。



<2013.04.19 ディクタ建築事務所 原田久>
by dikta | 2013-04-19 09:12 | 設計のこと | Comments(0)
LDKの位置

LDKは暮らしの中心にあるので、その配置で生活自体が大きく変わってきます。
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1FLDKの良い点
 ・庭との距離が近いため、庭との関係を作りやすく、視覚的にも実用的にも庭が活用されやすい。
 ・水廻り(キッチン、お風呂、洗面、トイレ)を1階に設ければ、高齢になってからの生活は1階で
  完結も出来る。
 ・玄関ホールとリビングとを兼ねる場合には、面積が節約できる。
 ・リビング階段とする場合には、階段のデザインを面白く出来る。
 ・洗濯物を干す場所は庭でよい=バルコニーが不要になるケースも。
 ・食品など日常的な買い物動線に階段が含まれないので負担が少ない。
 ・生ごみの動線が短い。
 ・LDKが接客スペースの場合、来客の動線が短い。
 ・引越し時に、冷蔵庫や洗濯機などの家電や大きなソファなどの家具を搬入しやすい。 

2FLDKの良い点
 ・日当たりが良い。
 ・通風面で有利なことが多い。
 ・大きな開口を確保しても構造が安定しやすい。
 ・冬は暖かい。
 ・道路面にも大きな窓を設けやすい。
 ・2F建ての場合、ガスコンロでも垂壁が不要なので、LDKがひとつの空間として感じられやすく、
  木を見せる仕上げもできる。
 ・多くの場合、個室を1階に配するので総2階にしやすく、コスト面で優れる。
 ・夜は1Fが無人ではないので、防犯面で優れる。

隣地と建物との距離が近い場合や、広いLDKを求めつつも構造の安定を求める場合、
また、ガレージなど広い面積を1Fに設ける場合、2FLDKも真剣に考える価値があると思います。




<2013.4.10 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-04-10 12:01 | 設計のこと | Comments(0)
手すりの形状


私たちの設計する住まいでは、手すりが開放的なことが多いです。

シンプルな手すりの階段や吹き抜けでは、視線が手すりの向こう側まで届いて、より広く
感じられ豊かな空間になる、あるいは、空間のアクセントとして手すりがデザインのポイントとなる
と考えているからです。

けれど、お子様が小さいから安全面で不安があるなどの場合には、もう少し横桟を増やしたりと
デザインを練ります。

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公共性のあるものなど多くの人が使う建物では、こういった開放的な手すりは許されません。

よじ登るかもしれないので、横さんはNGですし、縦さんでも頭が幼児の頭が通らないように
縦さんの間隔が11cmまでとするのが一般的です。

住宅では限られた人しか使わないという観点から、手すりの基準が緩くなっています。

せっかく自由にデザインさせてもらえる部分なので、使われ方を考えつつも、できるだけ
美しい手すりにしたいと考えています。



<2013.3.6 ディクタ建築事務所 栗山祐子>
by dikta | 2013-03-06 14:13 | 設計のこと | Comments(0)