量産される「危ない間取り」 ~日経BPケンプラッツ記事より~

プランニングを考える時、構造的な応力を伝える経路を考えながら設計することも重要な要素の一つです。

私たちの事務所で家づくりを進めているお客様は、

「この間取りは“ノリが良い”
「この部分の“ノリが悪い”ので梁が大きくなります」

という言葉を聞いた事があると思います。

私たちの事務所では上下の階の主要な壁の一致具合を“ノリ(乗リ)”という言葉で表しています。
(一般的に使う言葉かどうか知りません。)

基本的に柱や壁の位置は上下階で一致することが望ましいのですが、1階にLDKなどの大空間、2階に個室となると壁や柱の直下部分に荷重を受ける柱や壁が存在しないことは往々にして起こります。

そのような時は下の写真のように、上の階の荷重に耐えられるだけの梁の大きさにしてあげればいいのです。

d0144114_15195760.jpg
















下の写真のように1階がLDKの大きな空間の場合、上の階の荷重(1)は梁(2)から梁(3)へ、そして柱(4)から土台・基礎へ力が伝わります。


d0144114_15201133.jpg





















この場合、梁(2)と梁(3)の交わる直下に柱があれば梁(3)の寸法は小さく出来ます。

プランニングで多少無理をしても、それに応じた構造設計がなされていれば問題はないのですが、日経BPの記事 によると、そのような設計がなされないことが往々にしてあるらしいのです。




量産される「危ない間取り」 

 戸建て住宅の構造材を加工するプレカット工場にバランスの悪い「危ない間取り」の設計図が持ち込まれるケースが目立ち、多くはそのまま建設されている――。そんな話を耳にした。警鐘を鳴らすのは職業能力開発総合大学校建築システム工学科の松留慎一郎教授だ。

 具体的には1階と2階で柱の位置や壁の位置が半分以上、合っていない住宅だ。設計の基本を理解した人にとってはにわかには信じられないようなことだが、プレカット工場の担当者へのヒアリング結果によると「レアケースではなく、むしろこちらが主流になってしまっているのが実態という印象だ」(松留教授)。

<一部省略>

 なぜ、設計の基本とでもいうべきことが守られず、バランスの悪い危ない間取りが量産されるのか? 松留教授は「建物全体としての構造を検討せず、営業マンなどが建て主との打ち合わせで1階と2階の間取りをそれぞれ別々に決めて、そのまま突っ走ってしまうケースが多いのではないか」と推測する。「在来木造は自由な間取りが可能」というイメージもこういった傾向に拍車をかけているようだ。

<一部省略>

日経BPケンプラッツ 2009/07/28記事より引用
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20090727/534289/




十数年前にハウスメーカーの仕事をしていた頃、そのハウスメーカーでプランニングをしていたのは、資格もなく、専門教育すら受けてない営業マンという現実に驚愕したことがありました。

(前職が“牛乳メーカーの営業マン”とか“駄菓子屋への菓子の卸の営業マン”とか)


設計部の建築士は彼ら素人の営業マンが決めてきた間取りを申請するのが主な仕事で、有資格者がプランニングを考えることはなかったのです。

一定規模の建築は有資格者でないと設計してはならない事になっていますが、実際は役所への届け出上(確認申請上)の名義が有資格者であれば役所的には問題がないようです。(この習慣を改めようとして法改正をしていますが、徹底してるとは言えません。)

ということで、無資格の営業マンでもプランニングが出来てしまうわけです。
by dikta | 2009-07-29 22:17 | 設計のこと | Comments(0)


<< 木造フラットルーフの住宅が秋以... 靴の修理が終わりました。 >>