デザインと機能とコストのはざ間で

私たち設計者は、デザインと機能とコストのはざ間で思い悩むことが良くあります。

典型的な例として、外壁の塗り壁があげられます。

予算が少ないからと言って無理な工法を採用すれば、出来たばかりの時は良くても、しばらくすると継ぎ目が浮いてきたりクラックが発生してせっかくの建物の美観を損ね、建物自体の耐久性にも悪影響を与えることになりかねません。

外部に塗り壁仕上げを採用するとき、一番大切なことは下地の処理の方法にあります。

私たちが信頼できる工法として採用しているのは 「デラクリート セメントボード システム」 と 「ラスモルⅡノンクラック通気工法」 ですが、今回の田原市のお宅は後者の 「ラスモルⅡノンクラック通気工法」 を採用しています。

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通気ラスの上にモルタルを塗り、しばらく時間をおいてから、再びモルタルを塗り重ねます。


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ノンクラック工法のポイント 「ファイバーネット」
 

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下塗りの上からファイバーネットを塗りこめます。


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クラックの入りやすい窓周りは補強を入れて特に慎重に施工します。


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作業開始前のラス張りの状態。


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この日の作業はここまで。


良い物はそれなりに時間と手間が掛かります。

コストを惜しんで、あるいはデザイン優先で、それらを省略すると、それは即ち欠陥住宅につながることになります。

この田原のお宅は、けしてコスト的に恵まれている物件ではありません。

クライアントの要望である 「シャープでカッコよく、それでいて温かみのある建築」 をどのように予算内に収めて設計するのか。

そのためには 構造や耐久性にかかわる部分 と 本当に魅せたい部分 にコストを掛け、そうでない部分はとことんコストを抑えるといった割り切りが必要です。

このような メリハリ の利いた予算配分によって、予算以上の建物が出来るかどうかは設計士の腕の見せ所でありますが、クライアントの理解なしには成立しません。

私たちはクライアントのこだわりと割り切りがバランス良く調和した建物を作りたいと考えています。
by dikta | 2010-08-16 17:50 | 設計のこと | Comments(0)


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