拾い買い


年末に自宅の蔵書の整理をしました。蔵書とかっこつけてみましたが、その殆どが漫画なんですがね..(^^;)
600冊ほどブックオフに引き取ってもらいました。

私の好きな漫画「味いちもんめ」も思い切って処分。
もったいないかなと思いましたが、読まなくなってたのでまぁ、いいかな・・と。

この「味いちもんめ」は料理学校を卒業したばかりの若者が一流の料亭で修行を積み、その成長する様を描いた作品です。

私がお世話になった設計事務所は、徒弟的な雰囲気を持つ設計事務所で、職種の違いこそあれ上下の関係や仕事に対する姿勢がこの物語とよく似ているので、自分の若い頃を重ね合わせて読んでしまいます。

好きなシーンや話はたくさんあるのですが、中に「拾い買い」の話があります。

一流料亭「藤村」の立板(ナンバー2)まで務めた兄弟子が、料亭を辞めた後苦労を重ねて自分の店(大衆食堂)を開きます。

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主人公の伊橋が、この兄弟子と飲みに行った折に「兄さんは仕入れの苦労がなくていいですね」と口を滑らせてしまい、「俺の仕入れを見るのも勉強だからと」兄弟子に仕入れに一緒するように誘われます。

一流料亭の「藤村」は金に糸目をつけずに、旬のいいものを選ぶことが出きるのですが、大衆食堂ではそういう訳にはいきません。

形が悪いだけで鮮度素材に問題がないものを探し出したり、良い物が、残ってないか探したり、閉店間際を狙って交渉したり、限られた予算の中でと少しでも良いものを探して歩きます。

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一流の仕事を知っているからこそ、自分の仕事を裏切らない。職人の矜恃です。

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実は建築の設計でも同じようなことがあります。

私が独立前に在籍した事務所では、カタログやサンプルを見て良いと思ったものは値段を考えずに採用。良い素材をふんだんに使い思うままのディテールで設計することが出来ました。

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辞めてから分かったのですが・・・世の中の殆どの建物には予算があり、その範囲内で建築を作ります。

独立してからは、限られた予算の中でより良いものを・・と常に心掛け色々と物色するようになりました。でも、カタログでは素晴らしいのにサンプルを取り寄せてみると実物はそれほどでもない。資料を取り寄せてみた結果使い物にならないことが殆ど。

そのまま正直使うには少々頼りない素材でも、ちょっと手を加える、塗ってみたり、添えてみたり、重ねてみたり、で何とか使えるのではないか。試行錯誤を重ねます。

稀に石の中から玉を見つけたときは躍り上がるほどに嬉しいのです。
まさにこの漫画でいう「拾い買い」です。

構法であったり、素材であったり、設備であったり。ひとつのものを採用するその裏側で、時間と手間を掛けて選んでいることを知っていただけると嬉しいです。


※資料を送っていただきながら、採用に至らなかったメーカーさん、ごめんなさい。
by dikta | 2015-01-20 17:09 | ..雑感戯言 | Comments(0)


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